8:邂逅(かいこう)と秘密を抱えて

次の目的地である「カナリア砂丘」近くの「カナリアタウン」へやってきた一行。
セイナは前回のジム戦の経験から、リザードのザードが不利な相手に対して有効打を与えれる草ポケモンを探すことを決意する。自主的にハーヴを頼り、砂漠近くに生息していそうなポケモンをあれこれ聞いているセイナの様子を、テイルは眩しそうに見つめる。
そんな中、ハーヴが突然言葉を止めて周囲を見渡す。そこは町のシンボルらしき噴水が設置された憩いの場で、特に目立ったものは見当たらない。
しかしハーヴは、用事を思い出したので先にポケモンセンターに向かってくれと言い残し、その場を離れてしまう。
ハーヴが裏路地を経由して街の外れに出たところで、人の姿をしたサイハテが半透明気味に姿を現す。
『久しいな、”ハイブリッド”』
『やっぱり、サイハテか! 何故、君がここに? というか、何故この姿でハイブリッドだと分かるんだ!? いや、それよりも君、身体が透き通ってるように見えるんだが一体何があったんだ……!?』
『そういうお前は、随分と”アイツ”のような口調だが……――いや、まさか…………ランドウ、なのか?』
半透明のサイハテの問いに、ハーヴが僅かに目を細め、そしてこくりと頷く。
『あぁ、そうだ。今の私はハイブリッドの身体を借りたランドウで、そして、ハーヴという名前なんだ。さて、私は応えたぞ。君も、』
見上げた先で、サイハテは様々な感情をまぜこぜにした複雑な表情で目を細めていて、思わず、続きの言葉が詰まってしまう。固まってしまったハーヴに気を配ることなく、サイハテは真剣な眼差しでハーヴを見下ろす。
『時間があまりないから簡潔に話そう。私は、お前を蘇らせるために動いている。だから私と共に来い、ランドウ』
『蘇らせ、る? ま、待ってくれ! 今は色々あってハーヴの中にいるが、”今の件”が終わったら私は、』
『その”今の件”とやらは、どうせお前自身のためではなく、”ハイブリッド”のためだろう。ならば、私にとってはどうでもいいことだ。――お前を”殺した”存在を、私が、到底許せるはずがないだろう』
『っ――……だが……』
『とはいえ。私も、お前の意思を無碍(むげ)にはしたくない。夕方まで待つ。その間に、答えを決めろ』
その言葉と共に、サイハテの姿が掻き消える。人気のない裏路地で、ハーヴはその場で尻もちをついて空を見仰ぐ。
『ハイブリッド、君は――……いや。私は、どうしたらいいんだ……?』
その言葉に対して、身体の主からはとうとう何の返事もなかった。

*****

戻ってきたハーヴが上の空な状態に心配するものの、あまり深く詮索できないことを察した二人は、彼を置いて、ひとまずリユウ博士が向かったというジムへと足を運ぶ。
育て屋を兼ねるジムから姿を見せたジムリーダーのニナの話によると、リユウ博士がハシバミの洞窟にフィールドワークに行っており、数日したら戻ってくるという。
「えっと……セイナさん。貴方が、『ソウセイの腕輪』を持つ子、ですよね。貴方が訪れた翌日、ジムリーダーたちがこん睡状態になることも聞いてます」
「たち、って……まさか、ヨリカさんも!?」
「は、はい……あ、ですがその、貴方達を犯人だとは思っていないですよ! だからえっと、むしろ、貴方達”こそ”注意してくださいねと言いますか……!」
困惑するセイナ達の前で慌てて弁明をしたニナは咳払いをすると、本題へと話を進める。
「そ、それで、話を戻しますね。こほん……――私の試練は『調和』です。貴方にはこれから、この”庭”にいるポケモン達と仲良くなっていただきます。バトルしてもいいですし、話しかけて近づいても、木の実とかで気を逸らしても構いません。そしてその中で1匹、仲良くなったうえでポケモンを捕獲してください」
「あの、ここのポケモンって、誰かトレーナーのいるポケモンじゃ……?」
「彼らはみんな、”元”トレーナーの手持ちなんです。色々な理由で手放され、育ち切った子達ばかりですから大丈夫ですよ。貴方が彼らにどのように寄り添うのか、私に示してください。それが、私からの試練です」
ニナの言葉を受け、セイナは早速、庭にいるポケモン達へとまずは近づこうと試みる。しかし、一人で近づいても逃げられたり、或いは襲い掛かられ、リザードを出して何とか応戦しては、ヒットアンドウェイで逃げられてしまっていた。
そうこうしてジムの庭を探索していくうちに、庭の奥へと迷い込んでしまう。庭というよりもちょっとした森の様な場所をさ迷い歩いてくと、発電所で見かけた不思議な木の生えた開けた場所にたどり着く。その木の根元には、ぼーっとした顔で気を見上げるハーヴの姿があった。
更にその目の前には、ポケモンらしき存在がうっすらと靄のようにたたずんでいた。
思わず声をかけようとした刹那、木と靄が色を失う形で消失し、代わりに、何でも無い表情をしたハーヴがセイナの方へ振り返る。
「ん……おぉ、セイナか! なんだ、戻ってくるのが随分と……む? ここはどこだ? 私は一体、何故こんなところに?」
数度の瞬きの後、普段通りの調子で、しかし状況がよくわかっていないハーヴに首をかしげていた。と、リザードが草むらを振り向いて唸り声をあげる。すると、スピアーを連れた少年が姿を現す。
「あれれー? ここにはジムリーダーぐらいしかいないと思ってたんだけどなぁ~」
次の瞬間、少年の連れたスピアーがセイナの眼前まで迫るも、すんでのところで、ザードがスピアーを弾き飛ばす。主人を護るリザードの動きに口笛を吹きつつ、少年が楽しそうに両腕を広げる。
「ハハッ、中々よく育ってるリザードだね、お姉ちゃん! じゃあ、これはどうかなぁ?」
少年が薬らしきものを服用するや否や、発電所やイミヅキの森で襲いかかって来た者達のように、少年が倒れる代わりにスピアーの目の色が変わる。
『さぁさぁ、僕を楽しませてよね!』
スピアーの猛攻撃を、セイナ達を庇うように立ち回るリザード。その様子に気がついたセイナは、邪魔にならないように後退しつつ、携帯機器で人を呼ぼうとするが、それを見透かしていたスピアーは、リザードにフェイントをかけてセイナの背後を取る。
そのままスピアーがセイナに突っ込もうとするも、草むらから突然飛び出してきたサボネアがスピアーを吹っ飛ばす。更に、ハーヴを中心にして足下にワープホールが出現。驚く間もなく、セイナ達はどこかに転送されてしまうのだった。

*****

ハーヴの話し声で目を覚ましたセイナは、自分達がどこかにある遺跡のようなところに飛ばされたことを知る。軽く出口を探したが見つからないと肩を落とすハーヴの側では、先程の戦闘で偶然命を救ってくれたサボネアが、リザードと意気投合する形でじゃれ合っていた。
サボネアにお礼を伝えると、セイナは、深刻そうな表情のハーヴへ意を決して声をかける。
「ねぇ、ハーヴ。私は……この旅で、ハーヴからいろんなことを教えてもらったよ。バトルや捕獲だけじゃなくて、旅をする楽しさとか、ポケモンとの付き合い方とか。一緒に旅をしてまだそんなに経ってないし、たったそれだけかもしれないけど……私は、ハーヴからもっと話を聞きたい、教わりたいって思ってるから。だから、その……困ってるなら、力になりたい」
その言葉に、顔を上げたハーヴは少しだけ驚いた顔の後、苦いものを飲み込むような複雑な表情になる。
「私は君達に言えない秘密を抱えてしまっている。それでもまだ、君は、私を信じているというのかい?」
「うん、信じるよ。本当に必要なら、ハーヴなら話してくれるって。元は人間だって教えてくれたみたいに」
「……そうだな。もう少しだけ、私の抱える秘密を告げるための……――そう、決意をするための時間が欲しいんだ。問題ないか?」
頷き返すセイナに、すっきりとした表情のハーヴは、ひとまず今後をどうするかと二人揃って悩み出す。
そこへ、ダグトリオを連れたジムリーダーのニナと、彼女に連れられて姿見を見せたのは、発電所で戦った白の組織の女性でとゴウカザルであった。
「あっ、セイナさん! あぁ~~無事でよかったです~~!!! ポケモン達から、貴方がワープホールに吸い込まれたと聞いて……!」
「ニナさん!? あ、あの! その後ろの人は白の組織の……え、まさかニナさん……」
「ちげぇぞ。このアホジムリーダーは、お前を探す途中で俺と鉢合わせしただけだ。こいつは別に、組織の一員じゃない」
「あ、こちらはイナリちゃん。私の友人なんです。私が”ただのニナ”でいる内は大人しくして貰いますから、安心して下さいね」
ニナに笑いかけられたイナリは、やや不満顔のままに肩をすくめ、セイナの方へ向き直る。
「ところでお前、ニナんとこで、スピアーを連れた戦闘狂のクソガキと戦ってたんだってな。一緒に転送されたりとかは……まぁ、してねぇか。じゃなきゃ、そんなにピンピンしてるわきゃねぇし」
「あの……あの人も、白の組織の人なんですか? そもそも、白の組織、って一体……?」
セイナの問いにニナがやや困った表情となり、頭を掻くイナリが面倒くさそうな表情で答えようとするも、ふと、視線をセイナ達の後ろ、洞窟の更なる奥へを向ける。
ニナ達がやってきた方角とは反対方向から姿を見せたのは、イナリと似た服のトレーナー達とポケモン達だった。
「あ? お前等、なんでこんなとこにいるんだ?」
顔見知りらしいイナリが、怪訝な表情のまま彼らに近づこうとした瞬間、ニナのダグトリオが進行を塞ぐように前に進みだし、リザード、サボネア、ゴウカザルが警戒した面持ちでうなり声を上げ、
「生命の宿り木はどこだ?」
その言葉と共に人間達が倒れ、代わりに、凶暴な目の色をしたポケモン達が一斉に襲いかかってくる。
ニナやイナリと共に応戦していると、更にそこへ、先程セイナが戦った少年が姿を現す。
イナリに、シィ、と呼ばれた少年はその声に応えず、代わりにハーヴを見つけるや否や、甲高い雄叫びを上げた。
『見つけた、ぞ…………生命の、宿り木!!!』
その言葉と共にシィの横にいたスピアーが強い光に包まれ、次の瞬間、その姿は更なる強さを秘めた高次元の姿――メガスピアーへと変貌する。
「んなっ!? メガシンカだぁ!?」
「メガシンカって、確か、キーストーンとメガストーンを使う一時進化ですか?」
「は、はい。ただ、イナリちゃんの様子を見ると、どうやら知らなかったみたいですけど」
「ったりめぇだ! アイツは、キーストーンもメガストーンも持ってねぇんだよ! くそっ、一体、どうなっちまってるんだ……!」
メガスピアーに指示を出し、見境無しに周囲へ襲いかかるを止めるために応戦するイナリだが、凶暴化したメガスピアーにゴウカザルが押さえ込まれてしまう。隙だらけになったイナリへ、シィが他の手持ちポケモンと共に襲いかかろうとするも、セイナのリザードとサボネアにより、攻撃は届くこと無く無効化される。
「なんっ……!?」
「一緒に戦います! さっきの話、続きを聞けてないですし!」
「ハッ……その根性、気に入ったぜ。たまには共闘も悪くねぇ、なっ!」
セイナのリザードとイナリのゴウカザルによる即席の連携により、メガスピアーを何とか倒すことに成功すると、そのままシィと彼の手持ちポケモン達も気絶してしまう。
その場に気絶したシィの傍で、イナリは話の続きを口にする。
「俺たち白の組織は、居場所のないやつらの拠り所だ。同じ人間たちから蔑まれた奴ら、同じポケモン達から見捨てられた奴ら。そういったろくでなしの集まった場所なんだよ。”生命の宿り木”っつーのは、俺たちの”体質”をなんとかするために必要なものだ」
「”体質”?」
「それ以上は言えねぇよ。色々と”決まり”があるんだ」
イナリの呟きに全員が口をつぐむ。
すると突然、何もない空間に光と風が吹き荒れる。そうして光と風が収まった中心地には一人の半透明な男が悠然と立っていた。男に目を向けたかと思うと、イナリの表情が驚きで目を見開かれる。
「サイハテ様!? 何故、こんなとこに!」
驚くイナリに男が顔を向けて指を振った瞬間、イナリと、他周辺で倒れていた人間とポケモンの姿が掻き消える。
『彼女達は安全なところに飛ばした。しかしそうか……まさか、ソウセイの腕輪と共にいるとは思わなかった。
 それで。――答えは出たか、我が友よ』
声をかけられたハーヴは毅然とした態度でサイハテの前まで歩み寄り、
『あぁ。私は……――お前と共に行くことはできないよ、サイハテ。私”達”は、行かねばならない場所があるんだ』
『そうか、残念だ。次に会うときは、お前を”戻す”算段が付いたときだぞ』
途端、育て屋の時と同じようにセイナ達を囲うようにワープホールが出現。次に目を開いたときには、一行は街の入り口に立っていた。
「セイナ、に、ニナ殿。申し訳ないが、先ほどのサイハテという彼に出会ったことは、他の者には秘密にして貰えないだろうか。特にテイルには……私の決意が出来てから話しても、いいだろうか?」
「うん。約束だよ、ハーヴ」
ハーヴのお願いを受け、セイナは聞きたいことを飲み込み、力いっぱい頷くのだった。

*****

時間は少し遡る。
セイナの試練が終わるまでの間、ニナの助言もあって、テイルは街中で必需品の買い物に出てきていた。と、視線の先に見知った人物の後ろ姿が見え、彼は思わず声を掛ける。
「シャドウ?」
声に振り返ったのは、はたして、テイルの双子の兄であるシャドウだった。見知った弟の姿に目を丸くするも、彼はすぐにいつもの笑みを浮かべる。
「テイル!? あぁ、そっか。サマトラでカナリアジムに挑戦しに来たんだね。セイナがいないってことはジム戦中で、テイルは必需品の買い足しってとこかな。あ、二人とも元気?」
「あぁ。連絡しているとおり、特に問題ないぞ」
「ふふ、メールで定期的に連絡を貰ってるとはいえ、ちゃんと目の前で見れているわけじゃないから気になってたんだ。顔が見れて良かったよ。それで?」
「うん?」
「僕に言う事あるだろ~。――聞いたよ、”例の組織”と、しかも幹部の二人と戦ったって。お前だから大丈夫だったとは思うけど、何も無かったかい?」
その言葉に、テイルが少しだけ目を細めつつ頷く。
「あぁ、特に問題は無かった。そういうシャドウは、確か長期任務中じゃなかったのか?」
「今はちょっとした息抜き、かな。ま、お前達が二人がサマトラ中だから、家にいないことが後ろめたい気分にならなくて助かるよ。ちなみに、セイナの方はどう? やっぱり、周りに迷惑かかるから帰りたい、とか言ってる?」
「セイナは、」
「うん」
「……俺がいなくても、少しずつ旅を楽しみ始めてる。だから、大丈夫だ」
どこか穏やかともとれる言葉に、シャドウは驚いた表情のままに双子の弟を見つめ、それから安堵の混ざった声で呟く。
「……――そうか。お前も、そんな顔が出来るようになったんだなぁ」
「シャドウ?」
「いやぁ、二人とも成長していることが感慨深くなってね。さて、僕はもう行くよ。いいかい。二人ともくれぐれも無茶はしないこと! 特に……”ウツロ”、もしくは”サイハテ”と名乗る奴らが出てきたら、”お前でも”逃げなさい」
「あ、あぁ。だが、そいつらは一体、っ」
次の瞬間、シャドウの姿はその場から掻き消えてしまう。何の予告もなく手持ちのテレポートを使って消えた兄の言葉を、テイルは脳裏で反芻する。
テイルが幹部の少年と戦っていたことは、エメラルドを通して協会に伝わっているだろう。だがその後、少年を助けに来た幹部の女性について、テイルはエメラルドに報告すらしていない。
ところがシャドウは、テイルか”敵対した女性幹部”しかしらないはずのことをわざわざ言ってきた。それはつまり、
(忠告か、或いは……)
想像できる範囲の問題の羅列に目眩を覚え、テイルは徒労感と共に溜息をつく。
ふと視線を上げると、何故か砂漠の入り口側からセイナとニナが姿を現す。何があったのかと慌てて近寄ると、先行していたハーヴがテイルの腕の中に収まると共に、興奮した表情をみせる。
「テイル、セイナは凄いぞ! なんと! この間の発電所で戦った輩と共闘して、暴走していた同じ組織の小僧とのバトルに勝っ」
「っ!!」
慌てて近寄ってきたセイナが、ハーヴの口を塞ぐ形で彼を抱き留める。そして、恐る恐るとした表情で、ともすればどこか怯えたまま、セイナは慌てて声を出す。
「て、テイル! あのっ! あのね、わたっ、私、はっ……」
見上げた先のテイルの表情は固いものだったが、慌てているセイナを見下ろしていく内に眉間の皺が少し緩み、そして、吐息と共に尋ねる。
「怪我は、なかったか?」
「え……あ、うん。平気、だけど」
「セイナちゃんは、一人のトレーナーとしてちゃんと戦えてましたよ~。それに、私の課題も見事にクリアしました!」
ニナのフォローと共に、セイナのボールからサボネアが飛び出てくる。ぐるりとテイルの周りを一周してから満足して踊り出す様子に、彼が肩をすくめる。
「サボネアか。名前は?」
「あ、えっと……タスタス、だよ。この子も気に入ってくれた、から」
「それならいい。今のお前は、ポケモンを連れた一人のトレーナーだ。それに、試練を通しての成長もあるんだろう。自分で解決できるなら、俺から言う事は特に無い」
「……うん、分かった」
想定していなかった言葉にセイナが僅かに目を見開くも、次の瞬間には、少しだけ自信のついた表情で頷くのだった。

*****

その後ジムに戻ったセイナは、何時もの流れでジム地下にの扉の先で宝石とジムバッチを受け取る。
一方、リユウ博士はニナ達がジムを離れている間に戻ってきて置き手紙をしていたらしく、次はウスハナシティに用事があるのだという。
ニナに礼を伝えてジムを後にしたセイナは、次の行き先が決まったと、手持ち達に声かけをして、はりきったように歩き出す。
その後ろ姿に、テイルが僅かに手を挙げようとするも、それはそのまま降ろされてしまう。そんな彼の肩に乗りつつ、ハーヴは問う。
「声を掛けそこなったように見受けるが、いいのか?」
「アイツは自立しようとしているんだ。下手な言葉で委縮されたら、それこそ意味がない。だから、いいんだ」
僅かに目を細めつつ、テイルは軽く肩をすくめるのだった。

暫くして。
遺跡から違う場所に飛ばされたイナリだったが、会話もそこそこに別れてしまったニナが心配で、彼女の居る育て屋を訪れる。
そして地下の扉に続く入り口近くで、何かの影から吐き出される形で姿を見せた、気絶したニナと彼女の手持ちポケモンを発見するのだった。